プロ野球で打率3割は一つの勲章。
2割5分の打者とどれほど安打数が違うのかを検証してみたい。
1週間にヒット1本打つか打たないかの違い
2014年シーズンは144試合制であったが、2015年シーズンは年間143試合。
規定打席は試合数×3.1なので、2014年の規定打席数は446で2015年は443。
打率の計算をしやすいように、年間500打数(≠打席数)で計算してみたい。
年間500打数で、3割打者は150安打で、2割5分の打者は125安打。
年間で25本の安打の差が生じる。
年間143試合なので、143÷25=5.7試合に1本安打を打つか打たないかの違いが打率3割と2割5分の違いなのだ。
移動日で1日休みがあることから、5.7試合はほぼ1週間である。
1週間でヒット1本打つか打たないかでこれだけの差が生じると考えられるし、3割打者と2割5分の選手の違いはヒットを1本打つか打たないかの違いしかない。
実際に2013年と2014年の丸佳浩と菊池涼介の成績を見てみよう。
丸佳浩 | 試合数 | 打席 | 打数 | 安打 | 打率 |
2013年 | 140 | 601 | 506 | 138 | .273 |
2014年 | 144 | 644 | 536 | 166 | .310 |
丸佳浩の安打は28本増えて、打率は.037上昇。
ちょうど1週間に1本安打が増えた計算だ。
菊池涼介 | 試合数 | 打席 | 打数 | 安打 | 打率 |
2013年 | 141 | 538 | 506 | 133 | .247 |
2014年 | 144 | 579 | 536 | 188 | .325 |
菊池涼介は安打が55本増えて、打率は0.78上昇。
2.6試合に2本、1週間に2本安打が増えた計算である。
実際には大きな差だと思うのだが、意外と数字だけ見ると大きな差には見えない。
チームとしてみると、一人二人3割打者がいても機能しないのはこういうことで、チーム全体がレベルアップして、1試合でのチーム安打数を増やすことを考える、安打だけでなく四死球での出塁を増やす、犠打を絡めて得点するなど有機的に打線を繋げていかなければ勝てないのが野球の面白さである。
丸佳浩も菊池涼介もバッティング技術が大きく上昇した1年であったが、それだけでなく、丸佳浩は四死球が多く(セ・リーグNo.1)、菊地涼介は犠打数が多く(セ・リーグNo.2)、チームへの貢献が大きい。
打率3割は打者の一つの目標だが、それだけを追った選手が増えるとチームが機能しなくなるのは数字から見ても明らかであり、ある種マイナスの魔法に掛けられてしまう可能性もある。
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